HSPはわがまま?つらい誤解とラクになる考え方を解説

しょう
こんにちは、精神科医しょうです。
突然ですが、こんな悩みはありますか?

「敏感すぎて、面倒な人だと思われてないかな…」

「自分の気持ちを大事にしただけなのに、わがままだって言われた…」

HSP(Highly Sensitive Person)の方は、周囲の人よりも感覚や感情を深く受け取りやすい特性があります。

だからこそ、自分のペースや安心できる環境を大切にすることが必要です。

でもそれがときに「自分勝手」「わがまま」と誤解されてしまうことがあるのです。
この記事でわかること
・HSPがなぜ「わがまま」と思われやすいのか
・それが本当にわがままなのか?という誤解の正体
・周囲との誤解を減らすための伝え方と、自分を責めない考え方
読み終わる頃には、「私はわがままなんかじゃない」と、自分を少し優しく受け止められるようになるはずです。
しょう
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HSPはなぜ“わがまま”と思われやすいのか?

HSPには共通する4つの特徴があります。心理学者エレイン・N・アーロン博士はこれをDOES(ドゥーズ)と名付けました。

これらはHSPであれば誰もが持つ基本的な特性ですが、知らない人からは「わがまま」と誤解されてしまうことがあります。

それぞれの特徴と、わがままと誤解される理由について解説していきます。

D:Depth of Processing(深く処理する)

HSPは物事を深く考え、じっくり処理する特性があります。

たとえば予定を立てるとき、HSPはリスクや細部まで想定しながら最善を考えます。

その結果、「こうするのが一番安心」と意見を伝える場面が増えることがあります。

でも周囲からは、「こだわりが強い」「譲らない」と誤解され、わがまま扱いされてしまうこともあります。

O:Overstimulation(刺激を受けやすい)

人混みや大きな音、明るい光、長時間の人付き合いなどで刺激を受けやすく、すぐに疲れてしまうのもHSPの特徴。

そのため「今日は休みたい」「静かな場所がいい」とリクエストすることも時にはあるでしょう。

でもこれは自己防衛のための自然な行動なのに、周囲には「好き嫌いが激しい」「自分勝手」と映ってしまうのです。

E:Empathy & Emotional Reactivity(強い共感力と感情反応)

HSPは相手の感情に強く共感し、まるで自分のことのように感じ取ってしまいます。

そのため、人と長く一緒にいたり、ネガティブな感情に触れ続けると、心がすぐにいっぱいになってしまうのです。

こうした“共感疲労”を避けるために、「今日はひとりで休みたい」「少し距離を置きたい」といった自己防衛の行動をとることがあります。

でも背景を知らない人からすると、「急に距離を取られた」「冷たい態度をされた」と受け取られてしまい、誤解につながることがあるのです。

S:Sensitivity to Subtleties(些細な刺激への感受性)

HSPは、音・光・匂い、人の表情や雰囲気など、他の人なら気にも留めないような小さな変化にも敏感に反応します。

たとえば、オフィスの蛍光灯の明るさや、会議中のちょっとした緊張感、誰かの機嫌の悪さ。

こうした「些細な刺激」も心身に大きな負担となり、集中力や安心感を奪ってしまうのです。

だからこそ、「この環境では集中できない」「こういう進め方は苦手」と調整をお願いする場面が多くなります。

しかし、こうした「安心して過ごすためのお願い」も、背景を知らない人からすれば、「細かすぎる」「面倒くさい」と受け取られてしまうことがあります。

こうしたDOESの特性は、HSPが自分を守るための自然な反応です。でも背景を知らない人からすると、「わがまま」「自己中心的」と誤解されやすいのです。

本当に“わがまま”なのか?──HSPの特性を正しく理解する

まず知ってほしいのは、HSPの行動は「わがまま」ではなく「自己防衛」であるということです。

本人は決して周囲を振り回したいわけではありません。

「自分の心身が耐えられないから、必要な線引きをしている」──それがHSPの行動の背景です。

わがままと自己防衛は違う

「わがまま」とは、自分の欲望を通すために相手を無視すること。

一方でHSPの「今日は休みたい」「こういうやり方がいい」という発言は、自分の心や体がこれ以上疲弊しないための自己防衛です。

つまり「生きるために必要なリクエスト」なのです。

境界線を持つことは悪いことではない

HSPは人の感情や場の空気に敏感な分、境界線が曖昧になるとすぐに消耗してしまいます。

だからこそ、「ここまでなら大丈夫」「これ以上は無理」というラインを持つことが欠かせません。

それを周囲に伝えることは、自己中心ではなく「自分を守るための健全な行動」なのです。

誤解を解く第一歩は「背景を知ってもらうこと」

もし周囲から「わがまま」と言われてつらいときは、なぜそうしているのかを説明することが誤解を減らす鍵になります。

たとえば、「疲れやすいから休憩が必要」「刺激が強いと体調が悪くなる」など、“理由”を添えて伝えるだけでも印象は変わります。

HSPの行動は、わがままではなく「自分を守るための選択」

そう認識することが、まず自分を責めないための第一歩です。

誤解を減らすためのコミュニケーションの工夫

HSPは自分の状態を守るために必要なことを伝えているだけでも、「わがまま」と受け取られることがあります。

だからこそ、「なぜ必要なのか」を相手にわかりやすく伝える工夫が大切です。

1. “理由”を添えて伝える

「今日は人混みはちょっと無理」よりも、「体調が疲れやすいから、今日は静かな場所で過ごしたい」と伝えるほうが、相手は理解しやすくなります。

理由を添えるだけで「わがまま」から「必要なこと」へと受け止められ方が変わります。

2. 「お願い」として表現する

「これは嫌」「こうじゃなきゃ無理」という言い方ではなく、「こうしてもらえると助かるな」と依頼形にすることで、相手の受け取りやすさが変わります。

自分の希望を“押し付け”ではなく“お願い”として伝えることがポイントです。

3. 先に感謝を伝える

たとえば、
「無理を言ってごめんね、でも助かる」
「聞いてくれてありがとう」といった一言を添えるだけで、相手の気持ちは和らぎます。

感謝を言葉にすることで、お互いの関係がスムーズになります。

伝え方を少し工夫するだけで、わがままと思われるリスクはぐっと減ります。

相手の理解を得ながら、自分の安心も守れる方法を試してみましょう。

まとめ

HSPが「わがまま」と誤解されやすいのは、DOES(深い処理・刺激への敏感さ・強い共感・繊細な感受性)という特性が背景にあります。

でもその行動は、自分を守るために必要な自己防衛であって、決してわがままではありません。

大切なのは、「私はわがままじゃない。必要だからこうしている」と自分に言い聞かせること。
そして、周囲との誤解を減らすために理由を添えてお願いする伝え方を意識する等、誤解を避けるコミュニケーションをしていくことです。

あなたが安心して過ごすための選択には、しっかり意味があります。

どうか自分を責めず、自分らしい境界線を大切にしてください。

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