「仕事から帰るともう動けない…」
「楽しいはずの飲み会なのに、帰宅したらぐったり」
「人と会った後は、しばらく何もしたくなくなる」
もしこんな状態が続いているなら、あなたはHSP(Highly Sensitive Person)かもしれません。
HSPは音・光・匂いなどの刺激や、人の感情の変化に敏感に反応するため、普通の人よりも心身が疲れやすい特性があります。
でも安心してください。
すぐにぐったりするのは、あなたが弱いからではありません。
・HSPがなぜぐったりしやすいのかの理由
・日常で起きやすいぐったりシチュエーションあるある
・疲れを回復するセルフケアと疲れにくくなる生活の工夫
「なんでこんなに疲れるの?」が「こうすれば少しラクになる」に変わるヒントを、一緒に見つけていきましょう。
精神科専門医・指導医で、SNS総フォロワー10万人以上の精神科医しょうが書きます。
HSPがぐったりしやすいのは「脳と神経の過剰稼働」が原因

HSPが「なぜこんなに疲れやすいんだろう」と感じるのは気のせいではありません。
心理学者エレイン・N・アーロン博士が提唱したDOESという4つの特性が深く関係しています。
HSPが必ず持つ4つの特徴(DOES)
- D:Depth of Processing(深く処理する)──物事をじっくり考え、細部まで想定する
- O:Overstimulation(刺激を受けやすい)──音・光・匂い・人混みなどに疲れやすい
- E:Empathy & Emotional Reactivity(強い共感力と感情反応)──人の気持ちに深く影響を受けやすい
- S:Sensitivity to Subtleties(些細な刺激への感受性)──小さな変化や空気の違いにすぐ気づく
HSPの「ぐったり」は、これらの特性が合わさって起きる脳と神経の疲労です。
詳しいDOESの解説はこちらの記事で紹介していますが、ここでは「なぜこんなにも消耗するのか」という視点で深掘りしていきます。
1. 常に「脳の警戒モード」が続いている
HSPは脳の扁桃体(危険察知のセンサー)が活発に働く傾向があるといわれています。
日常のちょっとした会話や予定変更でも、「大丈夫かな」「次にどう動くべきか」と未来予測を繰り返し、交感神経が優位な“警戒モード”が続きます。
座っていても、頭の中は短距離走を延々続けているような状態。これが深い疲れにつながります。
2. 「微細な刺激」がエネルギーを奪う
オフィスの蛍光灯の明るさ、会議中のピリッとした空気、隣の人の小さなため息─HSPはこうした細かい刺激にも反応します。
本人は気づいていなくても、脳は「気づき→処理→意味づけ」を繰り返し続け、神経エネルギーを消耗しています。
普通の人が気づかない“情報の洪水”にさらされ続けているのです。
3. 共感疲労が「体の疲れ」にもなる
HSPは相手の感情をまるで自分のことのように体験してしまいます。
同僚のイライラ、友人の落ち込み、家族の緊張感──これらを自分の心身が受け止めるため、心理的な疲れが身体的な疲れとして積み重なります。
4. 脳と神経の“過剰稼働”がぐったりの正体
HSPのぐったりは、体力不足ではなく脳と神経のオーバーワークです。
一見元気そうに見えても、内側では情報処理・感情処理・未来予測でフル稼働。
これが「帰宅したら何もできない」「人と会った後はしばらく動けない」という状態をつくるのです。
「私って弱いのかな?」ではなく、「脳と神経が人より多くの仕事をしているから疲れているんだ」と理解することが大切です。
HSPがぐったりしやすい「あるある」10選

「なんでこんなに疲れるの?」と感じていませんか?
HSPがぐったりしやすいのは、特別なときだけでなく日常の小さな場面の積み重ねでも起こります。
ここではHSPの方がぐったりしやすいシチュエーションを10個紹介します。
きっと「あるある!」と共感できる状況もあるはず!?
- 会議や打ち合わせ後──場の空気・人の感情・言葉の裏まで感じ取り脳が疲労
- バスや電車に乗った後──人混み・騒音・匂いで刺激過多になり一気に消耗
- 飲み会の後──楽しいはずが、大人数・音・会話の洪水でぐったり
- 買い物やショッピングモール後──明るい照明・BGM・人の多さに疲れ果てる
- 家族や友人との時間後──相手の感情に深く共鳴し、嬉しさと同時に疲労感
- 急な予定変更があった日──頭の中で再計画し続け、落ち着けない
- 1日に複数の予定が入った日──次の予定を意識し続けて休まらない
- ネガティブなニュースやSNSを見たあと──感情が引きずられ心が重くなる
- 初めての場所や人に会ったあと──環境の変化と対人緊張でエネルギー消耗
- 仕事終わりや休日の夕方──日中の刺激や思考の蓄積で一気に疲れが出る
次は、ぐったりから回復するための具体的なセルフケア方法を解説します。
ぐったりから回復するためのセルフケア

HSPのぐったりは脳と神経のオーバーワークによるもの。
ここでは、特に効果的な2つの回復法を紹介します。
1. 「刺激オフ」の時間で脳を休ませる
HSPの脳は外界の情報を常にフル稼働で処理しています。
仕事や人付き合いの後は、視覚・聴覚情報からの刺激を意識的に遮断することが大切です。
具体的には、部屋を少し暗くして横になる、スマホやPCの画面を30分見ないなど、
たった15分でも、脳の緊張が緩み疲労感が大きく和らぎます。
2. 感情と考えを書き出して“頭の中を空にする”
ぐったりの多くは脳内の情報渋滞が原因です。
人との会話や出来事が頭の中で繰り返され、疲れが長引きます。
そこでおすすめなのがジャーナリング(書き出し)。
「今日あったこと」「感じたこと」「今の気持ち」を紙に自由に書き出すだけで、脳の処理が外に出て、頭が軽くなる感覚が得られます。
1日5分でも十分効果的です。
これだけで、ぐったりが翌日に持ち越されにくくなります。
まとめ

HSPがぐったりしやすいのは、DOES(深い処理・刺激への敏感さ・強い共感・繊細な感受性)という特性が、脳と神経に大きな負荷をかけているからです。
「私だけ疲れやすい…」と落ち込む必要はありません。
ぐったりから回復するには、意図的に脳を休ませる時間を作ることや、感情や考えを外に出して頭を軽くする習慣が効果的です。
小さな工夫を積み重ねることで、毎日の疲れは少しずつ軽くなっていきます。
「私の疲れには理由がある」と知るだけでも、心は少し軽くなるはずです。
どうか自分を責めず、回復のための時間を大切にしてくださいね。
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