自分軸と思いやりのバランスが崩れると危険?今日からできる改善法

しょう
こんにちは、精神科医しょうです。
突然ですが、こんな悩みありますか?

「人に合わせすぎて、自分の気持ちがわからなくなる」

「思いやりは大切にしたいのに、気づけば自分ばかり我慢している」

HSP気質や優しい性格の人ほど、相手を傷つけたくない気持ちが強くて、つい自分の選択を後回しにしてしまいます。

でも本来の思いやりは、自分を犠牲にすることではありません。

自分軸(自分の価値観・基準)を保ちながら、相手の感情や状況を尊重することは、じゅうぶん可能です。

この記事で得られること
・自分軸と思いやりの違いがはっきりわかる
・両立が難しくなる心理的背景を理解できる
・今日から使える、相手を尊重しつつ自分も守る伝え方が身につく

ここから、一緒に「相手を大切にしながら、自分も大切にする」バランスを整えていきましょう。

しょう
この記事の信頼性
精神科専門医・指導医で、SNS総フォロワー10万人以上の精神科医しょうが書きます。

自分軸と思いやりは補い合う関係

多くの人が「自分軸で生きる」と「思いやりを持つ」は相反するものだと感じがちです。

しかし、実際にはこの二つはぶつかるものではなく、互いを支え合う関係にあります。

まず、自分軸とは「自分の価値観や大切にしたいことを土台にして行動を選ぶ姿勢」です。

これは頑固さや自己中心性とは異なります。

自分の中の軸が定まっているからこそ、外部の意見や環境の変化に過剰に振り回されず、落ち着いた判断ができるのです。

一方で、思いやりは「相手の立場や感情を汲み取り、その人のためになる行動や言葉を選ぶ姿勢」です。

思いやりは、自分の気持ちを押し殺すことではなく、自分の状態を理解した上で相手の気持ちも大切にするバランス感覚です。

この二つは補い合います。

自分軸がある人は、相手の意見に同調しすぎて自分を見失うことがありません。

だからこそ、相手の立場を冷静に理解でき、押し付けない思いやりを持てるのです。

また、思いやりの心を持っている人は、自分軸が独りよがりになるのを防ぎます。

相手の状況を配慮することで、自分の意見や行動に柔軟さと温かみが生まれます。

例えば、友人から誘いを受けたとき、自分軸がないと「断ったら嫌われるかも」と無理をして応じてしまいます。

しかし、自分軸がある人は「今日は休息が必要だから断る」と判断できます。

そこに思いやりが加われば、「今日は疲れているから行けないけれど、また別の日に会おう」と相手を気遣った断り方ができるのです。

このように、自分軸と思いやりは同時に持つことで、相手にも自分にも無理のない関係が築けます。

片方だけでは偏りやすく、両方を意識することで初めて、安定した人間関係と心の健康が保たれるのです。

自分軸と思いやりが両立できないと起こること

自分軸と思いやりのバランスが崩れると、心と人間関係に負担がかかり次のような状態が起きやすくなります。

1. 自分軸だけが強くなる場合

  • 相手の事情や感情を見落としやすくなり、関係がぎくしゃくする
    例:同僚が家庭の事情で残業できないと話しても、「じゃあ私がやるからいい」と即決し、事情を深く聞かずに対応。相手は理解されなかったと感じる。
  • 周囲から「自己中心」「冷たい」と誤解され、孤立しやすい
    例:友人の相談に対し「自分だったらこうする」と即答し続け、相手は「聞いてくれない」と距離を置くようになる。
  • 短期的には楽でも、長期的には協力や信頼を失いやすい
    例:自分の予定や方針を優先し続け、チーム内で柔軟な調整ができず、いざ困ったときに助けてもらえなくなる。

2. 思いやりだけが強くなる場合

  • 自分の本音や限界を飲み込み、慢性的なストレスや疲労がたまる
    例:本当は休みたい日でも、頼まれたら断れずに仕事や集まりに参加し続け、体調を崩す。
  • 「私ばかり損をしている」という不満が募り、やがて関係が重くなる
    例:友人が毎回送迎を頼んできて、最初は快く応じていたが、徐々に「感謝されていない」と感じて距離を置く。
  • 自分の軸が曖昧になり、選択に自信が持てなくなる
    例:相手の好みに合わせてばかりで、自分が本当にやりたいことや好きなことが分からなくなる。

3. どちらも満たされない悪循環

  • 表面上は平穏でも、内側では我慢と反発が交互に起こる
    例:パートナーとの会話で、一方的に譲る日と強く反発する日が交互に訪れ、安定した関係が築けない。
  • 対話が減り、誤解や推測が増えて関係が冷える
    例:意見を言わずに我慢する日々が続き、相手は「関心がないのかも」と誤解し、さらに距離を取る。
  • 最終的に距離が生まれ、関係を保てなくなることがある
    例:職場で気持ちを伝えないまま業務だけを淡々とこなし、信頼関係が築けず異動や退職につながる。

だからこそ、「自分も相手も大切にする」という視点を、意識して日常に組み込むことが欠かせません。

自分だけを守ろうとすれば孤立し、相手だけを優先すれば疲弊します。

どちらか一方では、長く良い関係を保つことは難しいのです。

小さなやり取りや選択の積み重ねこそが、人間関係の土台を作ります。

だからこそ、自分の気持ちと相手の気持ちを同じテーブルに置いて考える習慣を持つことが、これからの関係づくりに欠かせないのです。

自分軸と思いやりを両立させる3つのステップ

自分軸と思いやり、どちらかだけでは関係が偏ってしまいます。

だからこそ、日常の中で両方を自然に使い分けられる工夫が必要です。

ここからは、そのための3つのステップを紹介します。

自分軸と思いやりを両立する3ステップ

この3ステップは、「自分の気持ちを大事にしつつ、相手の状況にも配慮する」ための会話の流れです。

順番通りにやることで、衝突や誤解を減らし、建設的なやり取りができます。

1. 今の自分の状態を把握する

まずは、自分のコンディションや優先事項を明確にします。

今日の体力・気分・集中度を一言でメモ(例:体力60、静かに過ごしたい)し、譲れない条件と柔軟に変えられる条件を分けます(例:睡眠は確保、開始時間は相談可)。

これが「自分軸」の土台になります。

2. 相手の背景を理解する

次に、相手が置かれている状況や背景を推測します。

事実と解釈を分けてメモ(事実:明日までに資料依頼。解釈:私に余裕があると思っている?)し、一文で相手の狙いを仮説化(例:急ぎだけど協力者が足りないのかも)。

この時点では仮説に固執せず、「確認前提の軽い仮説」として持ちます。

3. 双方を尊重した伝え方にする

最後に、自分の状態→相手の事情への理解→現実的な提案、の順で短く伝えます。

例1(断り+代替案):今日は体力が足りないので参加は難しいです。来週の昼なら調整できます。
例2(調整依頼):明日の午前は別件があると聞いています。資料は午後15時提出でも大丈夫でしょうか。

こうして3つの流れを意識すると、自分の気持ちも相手への思いやりも両方守りやすくなります。

あとは、難しく考えすぎずに日常のちょっとした会話で試してみるだけ。

1日1回でも繰り返せば、自然と身についていきます。

まとめ

自分軸と思いやりは、どちらか一方だけでは人間関係が歪みやすくなります。

自分軸が強すぎれば孤立し、思いやりだけが強すぎれば自分をすり減らしてしまう。

両立することで、相手との信頼関係を保ちながら、自分も消耗せずに生きられます。

今日お伝えした3つのステップは、特別な技術ではなく、日常の会話に少し意識を加えるだけで実践できるものです。

いきなり完璧を目指す必要はありません。

まずは一日のうち一度だけでも、自分の状態を見える化し、相手の背景を考え、短く伝える──これを試してみてください。

小さな実践が積み重なれば、「自分も相手も大切にできる関係」が自然と築かれていきます。

あなたの毎日が、少しでも軽やかで、心地よい関係で満たされますように。

今日のお話はいかがでしたか。あなたの感想もコメントにて教えてくださいね♪