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尽くしすぎてしまうのは優しさの使いすぎ|精神科医が教える4つのコツ

人に尽くしすぎてしまう。何かあげようとして、ついやりすぎてしまう。それは、優しさが相手にばかり向いているからかもしれません。精神科医しょうが、見返りを求めてしまう気持ちとの付き合い方と、与えすぎない4つのコツをお話しします。

こんにちは。精神科医しょうです。

人に何かあげようとやりすぎちゃう。
今日は、このお悩みについてお話しします。

何かしてもらったら、それ以上のお返しをしないと落ち着かない。
頼まれてもいないのに、相手が求めていそうなことを先回りしてしまう。
あげたものを喜んでもらえたか、相手の表情が気になってしまう。

そして、ふとしたときに「なんで私ばかり」とモヤモヤして、そんな自分にまた落ちこんでしまう。

この記事で分かること

  • 人に尽くしすぎてしまう、本当の理由
  • 「見返りがほしい」と思ってしまう気持ちとの付き合い方
  • 与えすぎないための、4つのコツ

尽くしすぎてしまうのはなぜ?

尽くしすぎてしまうくり返しの図。相手が求めていることに気づく、言われる前にやってあげる、喜んでくれたか表情を読む、次はもっとと自分を後回しにする、がくり返される。その根っこにあるのは、相手を大切にしたい優しさと、嫌われたくない気持ち。

結論からお話しすると、尽くしすぎてしまうのは、相手の気持ちを先に感じ取れる、優しい人だからです。
ただ、その優しさが相手にばかり向いて、自分の分が残っていない状態なのかもしれません。

相手が求めていることを、先に察してしまう

HSP(とても繊細な気質を持つ人)は、その場の空気や相手の気持ちを、一瞬で察知します。
そして、相手が求めていることを、言われる前に実行してしまうのです。

やりたくない仕事を引き受けたり、断ってもいい誘いを断りきれなかったり。
気づけば、自分よりも相手を優先していることが多いのではないでしょうか。

その奥には、「嫌われたくない」という気持ちがあるのかもしれません。

自分を後回しにしてでも、相手を優先してしまう

人に尽くしすぎてしまう人は、責任感が強い人でもあります。
自分を犠牲にしてでも、相手を優先させてしまう傾向があるのです。

そのため、相手のお願いをどんなことでも受け入れてしまい、気づいたら大きな負担やストレスをためこんでいることがあります。

相手の小さな表情の変化まで、読み取ってしまう

繊細な人は、相手のささいな表情や声のトーンの変化を、敏感にキャッチします。
たとえば職場の同僚にプレゼントをあげたとき、どこか嬉しそうではないことに、気づいてしまうことがあります。

気づいてしまうからこそ、「次はもっと喜んでもらえるものを」と、さらに力が入ってしまうのかもしれません。

頼まれると断れず、つい引き受けてしまうなら、自分軸チェックの「ひきうけ型」(頼まれると、断れない人)に近いクセがあるかもしれません。

尽くしすぎが続くと「私ばかり」が積もっていく

尽くしすぎが続いたときの流れの図。相手の求めることを先回りしてやる、自分の疲れや本音は後回し、感謝されていないように感じる、私ばかり損していると思う、やがて関係が重たくなってしまう。思いやりだけが強くなると、自分がすり減ってしまう。

思いやりは、とても大切なものです。
でも、思いやりだけが強くなって、自分の気持ちが置き去りになると、少しずつ心に負担がたまっていきます。

自分の本音や限界を飲みこんで、疲れがたまる。
やがて、「私ばかり損している」という気持ちが、ふくらんでいく。

たとえば、友人に毎回送り迎えを頼まれて、はじめは快く引き受けていた。
でも、だんだん感謝されていないように感じて、距離を置いてしまう。
こんなふうに、尽くしすぎた先で、大切な関係が重たくなってしまうことがあるのです。

見返りがほしいと思うのは、当たり前

人に何かをしたら、見返りを求めたくなる。
そんな自分が嫌になる、という人もいるかもしれません。

しょう

自分が何かをしたら、相手に見返りを求めたくなるのは、当たり前のことです。
心の中で「見返りがほしいな」と感じること自体は、悪いことではありません。

ただ、それを態度で表したり、「私はこんなにしたのに」と言葉にしたりするのは、少しちがいます。
気持ちは、心の中でそっと認めてあげれば、それで十分です。

私も「お返ししなきゃ」と考えていました

私自身、ラジオを聞いてくださる方から、差し入れをいただいたことがあります。
バレンタインにはチョコレートもいただいて、「お返ししなきゃいけないな。どうやってお返ししたらいいんだろう」と、話しながら考えていました。

そして、そのとき気づいたことがあります。
聞いてくださる方に何か良いものを届けたい、元気をあげたいと思って続けてきたけれど、実は逆でした。
元気をもらっているのは、私のほうだったのです。

与えることと受け取ることは、どちらか一方だけのものではなく、行ったり来たりするものなのだと思います。

尽くしすぎないために知っておきたい「2つの人間関係」

2つの人間関係の図。交換的な人間関係は、してあげたとしてもらったがある程度釣り合う関係で、職場の上司や同僚に向いている。共同的な人間関係は、見返りを求めない関係で、家族や友人に向いている。職場では、お互いにウィンウィンを意識していい。

人間関係には、大きく分けて2つの種類があります。
「交換的な人間関係」と「共同的な人間関係」です。

比べるところ

交換的な人間関係

共同的な人間関係

どんな関係?

「してあげた」と「してもらった」が、ある程度釣り合う関係

見返りを求めない関係

土台にあるもの

利益の交換

相手への配慮や気づかい

たとえば

シフトを代わったら、後日お礼に食事をごちそうしてもらう

特別な日でなくても、家族のためにおいしいケーキを買って帰る

向いている相手

職場の上司・同僚・部下

家族・友人・パートナー

職場では「釣り合い」を意識していい

職場の人間関係では、交換的な関係が望ましいとされています。
職場の上司や同僚、部下は、友だちではありません。
お互いにとってよい関係、いわゆるウィンウィンを意識しておいたほうがいいのです。

ですから、職場で一方的に与え続ける必要はありません。

そして、受けた恩は、しっかり返しておくこと。
それが人間関係をよくする秘訣であり、自分が困ったときに、また誰かを頼りやすくなる秘訣でもあります。

見返りを求めない関係は、大切な人とのあいだに

見返りを求めない関係は、家族や友人、パートナーなど、プライベートな関係に向いています。
試験に合格した友人にプレゼントを贈るのは、見返りがほしいからではなく、喜んでほしい、努力をねぎらいたい、という気持ちからですよね。

尽くしすぎて疲れてしまうときは、「この人との関係は、どちらだろう」と考えてみてください。
職場の人にまで、家族と同じように与え続けていた、と気づくかもしれません。

尽くしすぎてしまう人の、与えすぎない4つのコツ

尽くしすぎてしまう人の、与えすぎない4つのコツの図。見返りがほしい気持ちを責めない、全部ではなくここまでならと伝える、受け取ることも相手への贈りもの、同僚に差し入れするように自分にも差し入れをする。

1. 「見返りがほしい」気持ちを、責めない

見返りがほしいと思う自分を、責めなくていいのです。
心の中でそう思うのは、当たり前のことです。

「今、お返しがほしいと思っているな」と気づくだけで十分です。
その気持ちは、言葉や態度で相手にぶつけずに、心の中で認めてあげましょう。

2. 全部ではなく「ここまでなら」と伝える

頼まれたことを、全部引き受けなくてもいいのです。
断ることに罪悪感があるなら、ほかの方法を提案してみてください。
ほかの形で相手をサポートすれば、断りつつも、相手を思う気持ちは伝わります。

断るときは、「お誘いいただいてありがとうございます」「本当に申し訳ありません」といった、クッションになる言葉を最初に添えるのもおすすめです。

3. 受け取ることも、相手への贈りもの

尽くすのが得意な人ほど、人に頼ったり、何かを受け取ったりするのが苦手かもしれません。

人に頼ることは、弱さではなく、信頼を伝える行動です。
お願いを聞いた相手も、頼られてうれしいと感じることが多いのです。

まずは「そのペン、取ってもらえますか」くらいの、小さなお願いから始めてみてください。

4. 同僚に差し入れするように、自分にも差し入れを

人の気持ちを推しはかるのが上手な人は、その力を、自分にも使ってみてください。
「他人」の中に、自分も加えてみるのです。

誰かが休憩もとらずに働き続けていたら、きっと「大丈夫?」と声をかけますよね。
同じように、自分にも「大丈夫?」と問いかけてあげてください。
同僚にコーヒーを差し入れするような感覚で、ちょっとした気づかいを、自分自身にもしてあげましょう。

尽くしすぎてしまう人によくある質問

見返りを求めてしまう自分が嫌になります

見返りがほしいと心の中で思うのは、当たり前のことです。
その気持ちを、態度や言葉で相手にぶつけなければ、それで十分です。
「今、そう思っているな」と気づくところから始めてみてください。

何かしてもらうと、お返しをしないと落ち着きません

受けた恩を返すのは、人間関係をよくする大切なマナーです。
ただ、職場などの関係では、「ある程度」釣り合っていれば十分です。
してもらったことより、ずっと多く返さなくてもいいのです。

職場で頼まれると、全部引き受けてしまいます

職場の人間関係は、お互いにとってよい関係が望ましいとされています。
一方的に引き受け続けなくていいのです。
「本当に申し訳ありません。今回は予定が埋まっていて、お手伝いできません」と、クッションになる言葉を添えて断ってみてください。

まとめ:その気配りを、自分にも少し

「もっとしてあげなきゃ」と思ったときの切りかえの図。これまでは気配りを相手に全部使っていた、これからは自分にも少し分ける。その気配りを、自分にも分けてあげてください。

人に尽くしすぎてしまうのは、あなたが相手の気持ちを感じ取れる、優しい人だからです。
ただ、その優しさを相手にばかり使っていると、心はすり減ってしまいます。

自分だけを守ろうとすれば、人は離れていきます。
相手だけを優先すれば、自分が疲れてしまいます。
自分も相手も大切にする。そのバランスが、長く良い関係を保つ土台になります。

相手に向けている気配りを、少しだけ、自分にも分けてあげてください。

「もっとしてあげなきゃ」と思ったら、心の中でこうつぶやいてみてください。
「今日は、自分にも差し入れをしよう」

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
精神科医しょうでした。

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