職場で手抜きをする「理由」と予防法について【リンゲルマン効果】

しょう
こんにちは、精神科医しょうです。私は普段、精神科での外来を行い、7万人以上インスタやvoicyのフォロワーさんに対しHSP気質に関する発信、書籍の出版を行っています。

あなたの職場にもいないでしょうか?

  • 「手を抜き、一生懸命仕事をしない人」
  • 「仕事をすぐにサボろうとする人」

そんな人が。きっと心当たりがあるはずです。

これは、HSPさんからすると、すごくモヤモヤしますよね。

HSPさんにとっては、まじめに働くことの方が、息をすることのように当たり前のこと。

逆に一生懸命仕事をしなかったり、サボろうとすることの方が難しいはずです。

なぜあの人は一生懸命仕事をしないのでしょう?

それをひも解くためには、まず集団と群衆について説明しておきましょう。

集団

心理学において集団とは、以下のようなものを指します。

  • メンバーに共通の目標がある
  • 共通の目標を達成するためのコミュニケーションと協力関係がある
  • 役割が分担され、全体として統合されている
  • ルールや規範がある
  • 外部との境界が意識され、メンバーが集団に愛着を感じている

家族、遊び仲間、学校、会社、趣味やスポーツなどの集まりは、「集団」と言えるでしょう。

群衆

それに対して群衆とは、上記の項目を満たしていない集まりを言います。

共通の目標や協力関係も無く、役割やルール、規範も無い、そんな集まりは、集団ではなく「群衆」と言えます。

最近、サッカーワールドカップがありましたが、試合後に海外サポーターの一部が暴徒化していたことがありましたよね。

あれは、「群衆」の典型例と言えるでしょう。

そこにルールや規範などはありません。

ちなみになぜあのように暴徒化してしまうのかというと、社会生活における様々な不満を解消しようとする心理。

群衆の中では、

  • 1人1人の責任感、「私」が薄れ、「赤信号みんなで渡れば怖くない」の心理
  • 知らず知らずのうちに多数派になってしまう同調圧力。
  • 人から人への感情の伝染。
  • 伝えられた情報を鵜呑みにしてしまう「暗示」や「模倣」

そういったことが影響しています。

1人1人は、いたって普通の人であることが多いものです。

それが群衆になると、あのように暴徒化してしまうんですね。

非常に注意が必要です。

会社は集団?群衆?

さて、そんな集団と群衆ですが、先程お伝えしたように会社は「集団」です。

メンバー間には、商品を売る、物を作る、患者さんのケアをするなどの共通の目標があり、そこに協力関係があります。

役割があり、ルールや規範もあるでしょう。

しかし、そんな集団においても、手を抜き、一生懸命仕事をしない人が出てきます。

それはなぜか?「集団」だからです。集団だから手を抜きます。

少し詳しく説明していきますね。

集団と責任

集団になるということは、1人あたりの責任が分散します。

それを表した有名な実験があります。

綱引きの実験です。

  • 1人で綱引きをする時の力を100%とした場合
  • 2人の場合・・・93%
  • 3人の場合・・・85%
  • 4人の場合・・・77%
  • 5人の場合・・・70%

このようにどんどん人数が増えるにつれて、1人あたりが発揮する力が減少していくことが分かったんですね。

8人の場合には、49%とほぼ半分程度の力しか発揮しませんでした。

この現象を「リンゲルマン効果」と呼びます。

「社会的手抜き」とも呼ばれています。

ではわざと手を抜いているのかというと、そんなことはありません。

“無意識”の働きです。

しかし、そこがまた問題を複雑にしているんですね。

無意識ゆえに、この社会的手抜きを防ぎづらいのです。

もしこの社会的手抜きを少しでも防ぎたい、減らしたいと思うのであれば、以下のようなことを意識してみるのも良いかもしれません。

社会的手抜きの防ぎかた

  1. 役割をより明確にする
    →集団になることで責任が分散するのであれば、その責任が分散しないように、1人1人の役割、責任をより明確にしましょう
  2. 正当な評価をする
    →どれだけ頑張っても正当な評価がなされないのであれば、手を抜いてしまうということが起きても仕方がありません。※その仕事の成果に見合う正当な評価をしましょう。評価を分かりやすい形に可視化することで、よりやる気をアップさせることも大切です
  3. 貢献感を醸成する
    →「自分が今しているこの仕事が何の役に立っているのか?」「誰の役に立っているのか?」それらを説明し、本人の中に貢献感を醸成しましょう。※人は誰か(何か)の役に立っていると思えると、頑張れるものです逆に、何のために仕事をしているのかが分からないと、働く意欲も低下してしまいます

さて、ここまで「手を抜き、一生懸命仕事をしない人」が存在する理由、そしてその対策を少しばかりお伝えしました。

少しでも役に立つものはあったでしょうか?

勘違いしてはならないのは、集団になると“誰でも”手を抜く可能性があるということ。

そこは忘れてはいけません。

自分自身にもその可能性があるのだと自覚し、仕事に望みましょう。

そして、手を抜き仕事をする人に対処していきましょうね。

まとめ

  • 「手を抜き、一生懸命仕事をしない人」が存在するのは、会社という組織、集団においては、ある意味当然のこととも言えます。責任が分散してしまうからです。
  • しかし、「役割をより明確にする」「正当な評価をする」「貢献感を醸成する」などといったことで、多少なりとも仕事で手を抜く人を減らすことができるかもしれません。

ぜひ意識してみてくださいね。

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