こんにちは、精神科医しょうです。
あなたは、自分の見せ方を意識したことはありますか?
「見せ方」と聞くと、芸能人の方なんかをイメージされるかもしれませんね。
モデルさんや俳優さん、歌手の方などなど・・・
皆さん、自分の見せ方というのを知っています。
- 「こう見られると、カッコよく見える」
- 「こう見られると、綺麗に見える」
そんなふうに、他人から見える自分というのをしっかり意識し、自分の見せ方を日々研究されているのではないでしょうか。
この“見せ方”ですが、何も外見的な見せ方だけではありません。
心理的な見せ方もあります。
そして、この心理的な見せ方に関しては、実は皆さんも日頃“無意識に”実践していることでもあります。
心理的な見せ方というのは、他者があなたに抱く「印象」のことです。
「どういう印象を持たれるか?」ということ。
この印象を上手く操作することができれば?
そうすれば、人間関係を良好にしたり、不要なトラブルを回避することが可能です。
ただ、先ほどもお伝えしたように、実は皆さん日頃から実践していることでもあります。
なので、今からお伝えすることは、確認と自己の振り返りも兼ねています。
自分がどういう行動を取っていて、どんな行動パターンを取っているのかをチェックしてみてください。
自分という人間が見えてくるかと思います。
自己呈示とは?
さて、冒頭で「心理的な見せ方」とお伝えしましたが、更に細かく説明すると、いわゆる「自己呈示」のことです。
自分にとって望ましい印象を他者に与えることを目的としています。
この自己呈示ですが、大きく分けて2つの種類があります。
- 「防衛的自己呈示」
- 「主張的自己呈示」
大きく分けてこの2つの種類があります。1つずつ説明していきましょう。
防衛的自己呈示
- ①弁解
→自分と否定的な結果との関係性を弱めることで、責任を回避しようとする行為
例)「お酒のせいで気が緩んで、つい浮気をしてしまった」
- ②正当化
→自分の責任について一部は認めるが、否定的な結果を過小評価させる行為
例)「仕事が忙しかったんだから、ディナーの約束を忘れても仕方がない」と開き直る
- ③謝罪
→事態を丸く収めるために自分の非を認め、責任を取ると謝るふりをする行為
例)演技で土下座をして、謝るふりをする
- ④セルフ・ハンディキャッピング
→否定的な評価を受ける恐れがある場合に、前もって自分にハンディキャップがあると主張する行為や、実際にハンディキャップを作り出す行為
例)資格試験の当日、「ここ最近仕事が忙しく、全然勉強できなかった」と言う
- ⑤社会志向的行動
→自分が行った否定的行動が偶然的だと思わせるために、わざと社会的に望ましい振舞いをする行為
例)部下に暴言を吐いていたのを社長に見られた途端、部下にわざとらしく優しい口調で語りかけ、暴言はたまたまであり、普段は仲が良いという印象を社長に与える
いかがでしょうか?
あなたも無意識に普段やっている内容があったのではないでしょうか。
では、続いて主張的自己呈示についても見ていきましょう。
主張的自己呈示
①取り入り好感のもてる人物であることを印象付ける行為(もっともよく使用される)
更に次の4パターンに細分化される
- 「他者高揚(お世辞)」相手の長所や美点を強調し、相手の自尊心をくすぐる行為
例)社長は大してゴルフが上手いわけではないが、「よっ!さすが社長!」と言う
- 「意見同調」相手の意見や考え方に賛成、同意を示す行為
例)本当は納得していないが、「私も賛成です」と言う
- 「自己描写」自分の特性を望ましい方向に誇張して示す行為
例)上司がいる時だけ、せっせと忙しそうに働いているふりをする
- 「親切な行為」相手を思いやり、幸せを願っているように見せる行為
例)本当は嫌なのに、「部長、何かお手伝いできることはありませんか?」と言う
②自己宣伝→自分が有能な人物であるという印象を与える行為(自分の能力を誇張して示す)
例)自分にはそんな能力などないにもかかわらず、「私ならその仕事、誰よりも早くできますよ」と言う
③示範→自分は道徳心があって、立派な人物であるという印象を与える行為
例)詐欺師や破壊的カルトが信者獲得のために使う手口でもある
④威嚇→自分が危険な人物であるという印象を与える行為
例)「俺を怒らせたら、ヤクザの友だちが黙っていないからな」と空威張りする
⑤哀願→自分は弱くてかわいそうな人物であるという印象を与える行為
例)本当は自分でできる業務を「ちょっと今日体調が悪くて・・・」と同僚に言うことで、業務を代わってもらったり、手伝ってもらう
いかがでしょうか?
これが主張的自己呈示。
取り入りなんかは、本当に多くの方が無意識に行っていることではないでしょうか。
自己呈示は他者と付き合っていくスキルでもある
これら自己呈示を見て、自分を嫌になることはありません。
なぜなら自己呈示は、他者とうまく付き合っていくためのスキルでもあるからです。
自分の気の向くまま、全てのことを正直に他者に伝えたり、行動に表していると、確実にトラブルは増えます。
それを回避するためのスキルが自己呈示でもあるのです。
今回お伝えしたことを自身の行動と照らし合わせ、「ちょっとやり過ぎてたな」「自分を押し殺してたな」
そんなふうにどこか“生きづらさ”を感じたのであれば、今後気を付けてみましょう。
そして使えそうなテクニックがあったのであれば、取り入れてみましょう。
人間関係が少し楽になるはずですよ。
まとめ
自分の見せ方を意識すると、相手があなたに抱く印象が変わり、人間関係が楽になります。
具体的には「自己呈示」
自分にとって望ましい印象を他者に与えましょう。
ただし、やり過ぎは注意です。
自分を押し殺すことになりますし、本当のあなたとの“ズレ”に相手が気付いた時、あなたの信頼や評価を落としかねません。
- 「他人の顔色ばかりみてクタクタ」
- 「自分の意思で生きられない」
- 「いつも後悔ばかりでグルグル一人反省会」
そんなあなたはこちらの記事を読んでみてくださいね。
あなたが「自分軸で気楽に生きられるようになる」ことを願っています