【気が利かない人へのアチプローチ】責任の分散と社会的証明の活用方法!

しょう
こんにちは、精神科医しょうです。

あなたの職場には、気が利かない人がいるでしょうか?

  • 「ゴミが溜まっているのにゴミ袋の交換をしない」
  • 「プリンターの印刷用紙が減っているのに、その補充をしない」
  • 「シフト希望が出れば、我先にとシフトを書く」

確かに各々の事情があるでしょう。

単純に気付かなかったのかもしれないし、他に優先すべきことがあったのかもしれません。

しかし、“いつも”気が利かないのは、少々考えもの。

他の人のことも考えなくてはなりません。

きっと他の人は、ストレスを感じていることでしょうから。

気が利かない大きな要因「グレーな仕事」

一体なぜ彼ら彼女らは、気が利かないのでしょうか?

そこにはいくもの要因があるでしょう。

その人の性格やそもそもの気質、置かれている状況、様々なことを加味しなくてはなりません。

しかし、大きな要因が1つあります。

それは、グレーな仕事であるということ。

グレーな仕事に対して、“気が利かない”のです。

グレーな仕事というのは、要は“誰がやっても良い”仕事ということ。

誰がやっても良い仕事ゆえに、まずそれを率先してやろうという気にならないのです。

そこに気が利く人と気が利かない人の大きな差があると言えます。

グレーな仕事は、気が利く人と気が利かない人との差を、より顕著に見せることでしょう。

責任の分散と社会的証明

グレーな仕事のように、誰がやっても良い仕事がそこにあった時、通常、人はそれをなかなかしようとはしません。

それが普通です。

なので、気が利く人には、本当に感謝しなくてはなりません。

誰がやっても良い仕事を、自ら率先してやってくれるというのですから。

ただ、その“自ら”率先してやってくれるという人が現れるまでには、少し時間がかかることもあります。

いつもすぐにグレーな仕事が解決されるわけではありません。

そのような時、そこには「責任の分散」が発生します。

責任の分散とは?

※責任の分散を語るうえで忘れてはならないのは、1964年にニューヨークで発生したキティ・ジェノヴィーズ事件です。この事件は、たくさんの発見者(悲鳴を聞いた人や目撃した人)がいたにも関わらず、被害者が命を落とすことを防げなかった事件として知られています。詳細は割愛しますが、被害者が命を落とすまで時間があったにも関わらず、その間誰も警察に電話をしなかったのです。

ここには、責任の分散があります。

  • 「誰かが通報している(してくれる)だろう」
  • 「誰かが止めに行っているだろう」

そのような心理が働くのです。

他にも住人がいたために、責任が分散してしまったのです。

もし自分1人しかその場にいなかったなら、結果は違っていたかもしれません。

そしてこの事件では、同時にこのような原理も働いてしまいました。

それは「社会的証明」です。

社会的照明とは?

社会的証明とは、個人の意見や考えの妥当性をその他多数の他者の意見や考えに基づいて、判断する心理現象のことを言います。

例えば、行列の出来ているラーメン店は、「人気があるのだし、おいしいのだろう」

このように判断されます。

クチコミで評価の高い宿は、「きっと宿もきれいだし、おもてなしや料理も最高なのだろう」

このように判断されます。

社会的証明は、不確かな個人の判断を社会的証明をもって後押ししてくれるものなのです。

つまり、この事件の場合は、“他の住人も何もしていなかった”ことが、不幸にも社会的証明となってしまったのです。

  • 「他の人も何もしていない=緊急事態ではない」

このような社会的証明がなされてしまったのです。

責任の分散と社会的証明がグレーな仕事においてどのように働くのか?

ではこの「責任の分散」と「社会的証明」が、グレーな仕事においてどのように働くのでしょうか?

もうお察しの方もいらっしゃるかもしれません。

グレーな仕事というのは、“誰がやっても良い”仕事でした。

その時点で、責任が分散します。

となると、やらない人が発生しますから、やらない人がいることが社会的証明となります。

すると、「あっ、別にやらなくて良いんだ」

このように思う人もより出てくるでしょうから、気が利かない人は、もっとその仕事をやらなくなるというわけです。

気が利かない人を動かすには?

では、気が利かない人を動かすには、どうすれば良いのでしょう?

それは、まず「責任の分散」が発生しないようにすること。

そのためには、そもそもグレーな仕事を作らないという仕組みの部分かもしれませんし、誰か責任ある立場にある人が、普段あまりグレーな仕事をしない人(気が利かない人)に、その仕事を任せてしまう(指名する)ことも大切かもしれません。

これで責任の分散を防ぐことが可能となり、気が利かない人でもやらざるを得なくなります。

また、「社会的証明」の原理から言うならば、このようなメッセージも有効です。

  • 「職場の多くの人がゴミ袋の交換に協力してくれています」
  • 「職場の50人中40人以上の人が印刷用紙の補充に積極的です」

多くの人がそれ(グレーな仕事)をやってくれているという“社会的証明”があることを示すことが大切です。

間違っても、以下のようなメッセージは、社会的証明の観点からは避けるべきです。

  • 「ゴミ袋の交換に協力してくれない人がいます」
  • 「印刷用紙の補充がまたできていませんでした」

このようなメッセージは、“それをしていない人がいる”という社会的証明になるため、避けておきましょう。

「それなら自分もやらなくて良い」という人や、気が利かない人にとっては、非常に都合の良いメッセージとなってしまいます。

 

まとめ

気が利かない人を動かすには、「責任の分散」と「社会的証明」の観点から考えることが大切です。

そもそもグレーな仕事(誰がやっても良い仕事)を作らないことや、誰か責任ある立場にある人が、日頃気が利かない人を指名し、その仕事を任せてみるのも有効です。

もし何かメッセージを送るなら、以下のようなメッセージを送りましょう。

  • 「職場の多くの人がゴミ袋の交換に協力してくれています」
  • 「職場の50人中40人以上の人が印刷用紙の補充に積極的です」

これらメッセージが社会的証明となり、気が利かない人が動きやすくなります。

私のブログのテーマは、「他人軸でなく自分軸で気楽に生きる」です。

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