【誘いを断りづらいのはなぜ?】返報性と好意の心理に迫る!

しょう
こんにちは、精神科医しょうです!

皆さんは、人からの誘いを断るのは、得意ですか?

食事、遊び、地域の集まり、怪しげなセミナーの参加など、人からの誘いというのは、日常生活の中にあふれています。

これらの誘いに対して、どちらかと言うと、断ることへの苦手意識を持つ方の方が多いのではないでしょうか。

 

確かに先輩上司、日頃お世話になっている人からの誘いというのは、どうしても断りづらいものです。

しかし、友人のように気軽に付き合えるような関係性の人であったとしても「断ることが苦手」「断りづらい」

そのように感じることはないでしょうか?

  • 「本当は行きたくない」「やりたくない」

そのように思っているのに、なぜ断れなくなるのでしょう?

そこには、人の行動に影響を与えるいくつかの要因が考えられます。

そして“無意識に”その行動(断れなくなるということ)を取るようになってしまいます。

一体何が影響を与えているのでしょうか?

 

影響を与える要因

本当は嫌だと感じているのに、友人のように気軽に付き合える関係性なのに、“なぜ”人の誘いを断れなくなるのでしょうか。

いくつかの要因から説明がつきます。

ちなみにその要因とは、「空気を読みすぎる」「気を遣いすぎる」などの性格特性、気質ではありません。

確かにそれらも影響するでしょうが、“より普遍的な”とでも言うべきでしょうか。

そのような要因です。2つの大きな要因が考えられます。

 

  • 返報性
  • 好意

1つずつ見ていきましょう。

返報性

人は、受けた恩は返さなければならないと感じる生き物です。

その返報性の原理が働くからこそ、この社会は成り立っているとも言えます。

お世話になった人には、その恩を返そうと思います。

物をもらえば、何かお返しの品を買おうと思います。

そしてそれは、国家間でも同じです。

有事の際に人や物、金銭的な援助があれば、その援助をしてくれた国が困った時には、こちらも援助をしようと動きます。

「たとえそれが何か政治的な意図があったとしても」です。

返報性の原理が働くことを知っているから、たとえ敵対する国であったとしても、有事の際には、何らかの援助があるのです※(もちろん、純粋な理由もあるでしょうが)

それぐらい返報性の原理は強力に働きます。

 

では、この返報性がなぜ人の誘いを断りづらくさせるように働くのでしょうか?

それは、“その人から受けてきた恩があるから”です。

  • 先輩上司であれば
    →仕事を教えてくれた恩や食事をおごってくれた恩、仕事のミスによる責任を肩代わりしてくれた恩などがあります。
  • 友人であれば
    →これまで食事や遊びに誘ってくれた恩(仲良くしてくれた恩)、プレゼントをくれた恩、恋人を紹介してくれた恩、悩みや愚痴を聞いてくれた恩などがあります。

 

これら恩がある人から何らかの誘いがあった時、その誘いを断れるでしょうか?

その恩には報いようとするのが人間です。

つまり、「返報性」が働きます。

  • 「その誘いは、断ってはいけない」
  • 「誘いに乗らなければならない」

このように思います。これまでの恩に報いようとするのです。

 

また、もし仮にあなたが勇気を出して、その誘いを断ったとしましょう。

そしてその時、相手が譲歩してくれたとします。

  • 「分かった。じゃあ○○ならどう?」
  • 「そう、それなら〇月〇日ならどう?」

このように譲歩してくれたとします。

すると、この時にも返報性は働き、あなたは誘いを断りづらくなります。

なぜなら、“譲歩してくれた”という恩が働き、その恩に報いようとするからです。

譲歩してくれた時にも働くのが返報性であり、とても強力な原理です。

ゆえに、人は誘いを断れなくなるのです。

好意

では、好意はどのように人からの誘いを断りづらいものへと変えてしまうのでしょうか?

これは、考えてみれば分かります。

嫌いな人や見ず知らずの人からの誘いは、断りやすいものです。

誘いを断ったことでたとえ嫌われたとしても、あまり影響はありません。

“そもそも”相手のことを嫌いですし、見ず知らずの関係であるため、それほど大きな損失はないのです。

 

一方、これが相手に対して好意(恋愛対象としてという意味ではなく)がある場合、誘いを断ることによる損失は大きくなる可能性があります。

誘いの内容によっては、今後の関係性にも影響があるでしょうし、相手があなたに抱く好意が減少する可能性もあります。

好意があることによって、人からの誘いは格段に断りづらくなるのです。

 

また、好意があるということは、その人に対する信頼も一定程度はあることでしょう。

となると、その人の言うことを“自ずと”聞き入れやすくなる側面も忘れてはなりません。

断ろうという気になる前に、その人の発言を“半ば自動的に”聞き入れやすくなるのです。

  • 「この人の誘いだし、聞いておいて間違いはないだろう」
  • 「この人の言うことなら、損はないだろう」

このようにたとえそれが悪質セミナーの勧誘だったとしても、疑うことをせず、「参加する」と首を縦に振ってしまう可能性があるのです。

これが好意が持つ力であり、人からの誘いを断れないものへと変える要因の1つです。

 

人は、本当は嫌だと感じていても、それを断れないことがあります。

そのような場面は、今後も数えきれないほどあるでしょう。

もしそのような場面に直面したなら、今回お伝えした原理を思い出してみてください。

今自分が“何らかの”影響を受けていることに気付ければ十分です。

気付いたなら、本当に嫌なら誘いを断る練習を今後していくことです。

小さなことから始めていきましょう。

まとめ

本当は嫌だと感じていても、人からの誘いを断れなくなるのは、大きく分けると2つの要因が考えられます。

1つは、返報性。そしてもう1つは、好意です。

人は、受けた恩には報いようとするため、これまでの恩が大きければ大きいほど、その人からの誘いは断れなくなります。

また、その人に対して好意があればあるほど、こちらもその人からの誘いは断れなくなってしまいます。

まずはこれらの要因が働くことを知りましょう。「断りづらいな・・・」そう感じたら、思い出すことが大切です。

私のブログのテーマは、「他人軸でなく自分軸で気楽に生きる」です。

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